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個人レベルのがんばりが観光地を救う - 4合目

第10章 関越道ツアーバス事故について


私と私の部下達が前橋東警察署に呼ばれて取り調べを受けている最中の
4月29日、関越道ツアーバス事故は起きました。
問題の私のホームページがあればあの時点で書き込んだことですが、は
らぼじ観光被疑事件での「立ち入り検査拒否」とも関係することなので、
書いていくことにします。

上毛新聞では「業法違反」「名義貸し」が事故の原因のような嘘の報道
をしてしていました。
私の事件のことをいっているのかとほくそ笑んで眺めていたものです。
会社設立前はバス会社からの名義貸し的な立場で仕事をしていたし、は
らぼじ観光の仕事は通常の観光バスではできない無料での運行を斡旋す
ることでした。
バス会社の現状を知った上での経営が成功をしていたので私流の「解説」
をしようと思います。

この事件の対応について、おかしいと思う点を3点あげていきます。

1点目には1人の能力、適正がなかった運転手の過失で起きた事故を理由
にして、なぜ他のバス会社や他のドライバー達が規制(束縛)を受けなけ
ればならないのか。
ただでさえ「稼ぐ」ことがたいへんなのに、さらに仕事がやりずらい環境
に置かされるのかということです。

一つの事故を利用して、全体に支配力を強めようとする既得権者の意図が
みえみえです。 

事故を起こしてしまったら、例えそれが自分に過失のないもらい事故であ
ったとしてもただでは済まされない。
ましてや自分の過失が原因で起きた事故でけが人が出ようものなら、自分
の運転手としての立場はなくなり社会的制裁を受けることになる。
そんなことはプロのドライバーならだれでも真剣に考えていることです。
事故を理由にして「規制」をかけたところで、事故防止にどれだけ役立つ
というのでしょう。
事故後に役所が多くのバス会社に立ち入り検査をしたのを聞いて、事故を
理由にして役人が民間を支配しようとする。
または支配管理しているということを大衆にPRする。
バス会社もドライバー達も営業権を取り上げられる恐怖心から、検査を受
け入れてはいますが、本心では役所の検査と事故防止はつながらない、と
みんな思っているはずです。

そもそも、役人が民間を支配するのではなく、民間(市民)が役人を選ぶ、
と憲法には書いてあります。
公務員は選挙で選ばれる、と。

はらぼじ観光は旅行業の資格許認可を持っていたとき、旅行業法にある立
ち入り検査を拒否していました。
理由は立ち入り検査の内容が古くて意味がないこと。
インターネットで旅行商品を売る時代に、机がどこにあるか、カウンター
がどこにあるかなどを問い質されるなど、他の項目も時代に合わない無意
味なものばかりでした。
このことは文章で県庁に通知しています。

バス会社への立ち入り検査のやりとりを予測すれば、法律や通達にある管
理マニュアルを守らせるよう指示をしているのでしょうが、その法律や通
達自体が現実とはかけはなれているものなのです。
よって、ほとんどのバス会社が違法な管理体制をしている、という報道に
なっているのはしかたがないことなのです。

違法行為をしているあれだけ多くのバス会社がはらぼじ観光のように摘発
されない理由は何なのでしょうか?

バブルの前は数十台以上のバスを保有する大きな一つのバス会社がツアー
バスのような旅行会社からの下請的な仕事も受けていました。
今は零細バス会社の安い料金の仕事のほとんどをこなしています。
大手は例えば補助金で成り立つ路線やツアーバスと対抗している高速定期
バスなどの仕事を主流にして利益を確保しています。
自ら旅行業者の「資格」を持って企画し募集している仕事もしています。

零細バス会社は社長が運転手兼管理責任者ですから、点呼や体調の確認な
ど現実的にできるはずがないのです。

韓国の規制のない経済システムは仕事を作ってきた過程で参考になるもの
でした。
韓国は観光先進国です。
少人数のグループをバスで案内するシステムがあります。
韓国の観光バスの6割方は個人営業の社長1人運転手1人だそうです。

一人企業が自己管理、自己責任で多用なニーズに応え、観光客が増えるこ
との根元的な仕事をしています。

日本のように大手バス会社に有利な取り決めばかりでは、観光客の絶対数
を増やすことは不可能です。
時代がすすめば「団体」の平均人数は減るばかり。

はらぼじ観光の団体の平均人数は2000年度が約30人、2010年には約18人
にまで少なくなりました。

一律の規制をかければ、ニーズの多様化に対応することができなくなるの
です。

規制を弱めるか、零細バス会社ができるものに作り替えることは観光産業
全体を元気にするためになくてはならないことです。 

おかしいと思うことの2点目は管理責任を問われて、手錠をかけられた姿
をさらされたバス会社の社長に対してのしうちです。

あの中国人の運転手は自分のミスで人が死んだのだから厳しい責任を負わ
されるのは当然のことですが、管理責任を追及されるのは1人ではないは
ずです。
東日本大震災の後の風評被害によって中国人の観光客がいなくなったので、
あの運転手はあの時あの仕事をしていたのでしょう。

あの運転手が中国人のお客さんを乗せていた頃はどういう経緯で中国人団
体をお客さんを扱ったのか。

直接、中国人の団体が運転手に「バス」を頼むことは「法律上」できない
はずです。

なぜ1人の中国人がバスを保有する会社を運営できたのか。

役所が中国人ツアーの取り扱いを「認可」していた業者が丸投げしていた
ことは予測できます。

役所が認可をした業者が名義貸しを当たり前のようにしていたのです。
昔、調べたときは30社とかいう数の業者数でしたから、簡単に特定でき
るはずです。 


管理責任を問うのだとしたら、一つのバス会社の社長だけではありません。

あの運転手がしてきた過去の仕事とそれにかかわった人が何をしてきたの
かを裁判では明かにしていくべきでしょう。

中国人団体客を扱う「資格」を持つ旅行会社。
名義貸しとピンハネができる旅行業者の「資格」。
観光産業全体のためにはそんなものはない方がよいのです。

旅行業の許認可制の弊害の実例として「3合目」で取り上げた留学旅行専
門の旅行会社ゲートウェイ21の倒産があります。

この会社は留学生との最初の関係作りのためにNPO法人の認可も受けて
いました。
そのことも被害額の増大に拍車をかけました。

事故と言えば、12月2日に中央道のトンネルの天井が落ちて何人もの人が
亡くなったそうです。
管理責任を問われて、零細バス会社の社長は市中引き回しの刑。
天井が落ちてきて多くの人が死に、長い間通行止めになってもああいう組
織は管理責任を追及されることもない。

こんな不公平がありますか?

この不公平を是正しないと原発事故のような桁違いの人災が後を絶たなく
なります。


おかしいと思うことの3点目は事故の防止策を、時間的労力的な「規制」
においていることです。
事故が起きる原因の第一は運転手とお客さんとのコミュニケーションの
欠如です。
昔よくあった話。
突然気を失ったドライバーを見てお客さんがハンドルに飛びついて大事故
を防いだ。
今は、お客さんは運転手とは口を聞かないもの、という間違った認識を多
くのお客さんが持ってしまっています。
路線バスの運転手だってお客さん1人1人に声をかける人は事故は起こし
ません。
お客さんの中に、

「運転手さん、どこから来たんだい?」

「運転手さん、疲れたら、少しでも休みなよ」

そういうお客さんが1人でもいれば、この事故は起きなかったはずです。
バス運行についての規制に頼ることは、さらに運転手とお客さんとのコミ
ニケーションをなくすので逆効果です。


事故の第二の原因は運転手本人の精神状態です。
運転手の精神状態がおかしな時に事故が起きるということは素人の運転手
でもみな知っていることです。
結果責任、自己責任の理屈で世の中動いているのですから、結果の伴わな
い指導管理に費やす税金は他のところに使ってほしいものです。
事故防止策は管理指導とは真逆のものだと思います。

私は被疑者被告人で私の意見が反映されることなどないことはわかってい
ます。
でも私は20年以上の間、あれだけたくさんの数を扱っても事故に関係して
いません。
離れた所からできる事故防止策は指示命令では無理です。
運転手とその管理者に

・お客さんとなんでもよいからコミニケーションを取りましょう。

・お客さんに声をかけさえすれば、どこに行っても、どこで休んでもかま
いません。

そう伝えてきました。

既得権者達に聞いてみたいです。

人が人をどこまで管理できるものなのですか?

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